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楽器の持つ空気感

  • 執筆者の写真: Hirokuni Honjou
    Hirokuni Honjou
  • 6月16日
  • 読了時間: 8分

Epiphone Casinoとビートルズの音楽


Epiphone CASINOを持つと、ビートルズが弾きたくなる。

このことについてAIに聞いてみたところ、以下のような回答が。



Epiphone Casinoは、その独特なサウンドとデザインから、多くのギタリストに愛されている。特にビートルズの音楽を演奏する際には、以下のような理由からこのギターが選ばれることが多い。


1. クラシックなサウンド

Casinoはセミホロウボディのギターで、温かみのあるトーンが特徴。このサウンドは、ビートルズの楽曲にぴったり合う。


2. ビートルズの使用

ジョン・レノンやジョージ・ハリスンがこのギターを使用していたため、ビートルズを演奏する際にその音を再現したいと考えるギタリストが多い。


3. プレイアビリティ

Casinoは軽量で演奏しやすく、様々なスタイルの音楽に適している。ビートルズの多様な楽曲を演奏するのに最適。


4. ヴィンテージな魅力

そのヴィンテージな外観とサウンドは、ビートルズの時代を思い起こさせ、演奏する側も演奏を聞く側も楽しみを倍増させる。

このように、Epiphone Casinoはビートルズの楽曲を演奏する際に非常に魅力的な選択肢となる。



むむ、なるほど。そのへんのギターマニアよりも詳しいかもw




ビートルズは8年間という短い活動期間ながら、「前期」「中期」「後期」に分類されることが多い。その中で、ジョージハリスンはEpiphone CASINOを中期~後期初頭にかけて使用していたと思われる。

ジョージハリスンは、実はギターに「深いこだわり」のようなものは薄かったのではないかと考えられる。

時と場合によっていろいろなギターを使っていた。

ビートルズとしてデビュー~解散までの間だけでも

Gretsh Duo Jet、 Gretsch Tennessean 6119、Gretsch Country Gentleman、Rickenbacker 360/12(12弦)、Epiphone CASINO、Gibson SG、Gibson Les Paul、Fender Stratocaster、Fender Telecaster、Jose Ramirez Estudio(クラシックギター)、Gibson J-200、Gibson J-160E、Framus Hootenanny 5/024(12弦)、Martin D-28、Gibson Style O Archtop、他

と数が多い。

その時々で必要なものを選んでいる印象だ。

もしジョージが現代のギターフォーラムにいたら、

「結局メインギターは何なんですか?」

と聞かれて困っていたかもしれない。


CASINOはジョージにとって特別だったのか


ではCASINOはどうだったのか。

1966年頃からジョージはCASINOを使い始める。

ちょうどビートルズがライブ活動を終え、スタジオワーク中心へ移行する時期だ。

ここが重要だ。

CASINOは単なる新しいギターではなかった。

ビートルズの音楽そのものが大きく変化していく時期と重なっている。

「Revolver」

「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」

「Magical Mystery Tour」

こうした作品群が生まれた時代である。

ジョン・レノンもCASINOを愛用していた。

ポール・マッカートニーもCASINOを所有していた。

つまりCASINOは、ある時期のビートルズサウンドを象徴するギターだった。

だから我々がCASINOを手にすると、単にジョージを連想するのではない。

あの時代のビートルズ全体を連想してしまうのである。


実はCASINOの音は意外と荒っぽい


CASINOを初めて弾いた人の中には、

「あれ?」

と思う人も多い。

もっと上品な音を想像していたのに、意外と暴れる。

意外と荒い。

意外とハウリングする。

それもそのはず。

CASINOはセンターブロックのないフルアコ構造だ。

一般的なセミアコのような扱いやすさはない。

P-90ピックアップも繊細というよりは野性的である。

実際、ジョン・レノンのCASINOサウンドを聴いても決して美しいだけではない。

むしろ荒々しい。

「Revolution」のギターなどはその代表例だろう。

歪ませたCASINOは驚くほどロックだ。

そしてこの荒々しさこそが、後期ビートルズの革新性と妙にマッチしている。


ビートルズは「完成された音」ではなかった


現代の人がビートルズを聴くと、歴史的名盤として聴いてしまう。

しかし当時の彼らは常に実験していた。

録音方法も。

楽器も。

作曲方法も。

何もかもが試行錯誤だった。

CASINOにも同じ空気がある。

完璧ではない。

扱いづらい。

でも面白い。

だからCasinoを弾いていると、

「うまく弾こう」

ではなく

「何か面白い音が出ないかな」

という気分になる。

それはまさに1966年以降のビートルズの精神そのものだ。


だからCASINOを持つとビートルズが弾きたくなる


結局のところ、CASINOは単なる楽器ではない。

ビートルズという巨大な物語の一部なのだ。

レスポールを持てばジミー・ペイジやランディー・ローズ、スラッシュ、ザック・ワイルドなどを思い浮かべる。

ストラトを持てばジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、スティービー・レイボーンなどを思い浮かべる。

それと同じように、Casinoを持てばビートルズを思い浮かべる。

しかもCASINOの場合は少し特殊だ。

ジョン、ジョージ、ポールという三人全員が使った。

これほど「バンドそのもの」を象徴するギターは意外と少ない。

だからケースから取り出した瞬間、

自然と「Day Tripper」のリフが頭に流れる。

「Paperback Writer」のコードを鳴らしたくなる。

そして気が付く。

自分はCASINOを弾いているのではない。

ビートルズという時代の空気を弾いているのだ、と。


ジョージ・ハリスンは、なぜCASINOからストラトキャスターへ向かったのか


Epiphone CASINOについて語っていると、ひとつ気になることがある。

ビートルズ後期を象徴するギターのひとつであるCasino。

ジョージも愛用していた。

にもかかわらず、後期の映像や写真を見ていると、徐々に別のギターを手にする姿が目立つようになる。

それがFender Stratocasterだ。

特に有名なのが、ジョージがサイケデリックなペイントを施した「Rocky」。

1967年頃から頻繁に登場し、後期ビートルズのジョージを象徴する一本になった。

では、なぜジョージはCASINOからストラトへ向かったのだろうか。

もちろん本人が明確に語っているわけではない。

しかし当時の状況やサウンドの変化を見ていくと、いくつかの理由が見えてくる。


CASINOは「ロックンロールのギター」だった


まずCasinoという楽器そのものを考えてみたい。

CASINOはホロウ構造にP-90ピックアップを搭載している。

音は太い。

空気感がある。

少し暴れる。

アンプを大きくするとハウリングも起きる。

それが魅力でもある。

ジョン・レノンがCASINOを愛した理由も、この荒々しさにあったのではないだろうか。

実際、「Revolution」の歪んだギターサウンドなどはCasinoの持つ野性味がよく表れている。

しかし1967年以降のビートルズは少しずつ変わっていく。

ロックンロール・バンドという枠を超え始めたのである。

インド音楽。

オーケストラ。

電子音。

テープ逆回転。

さまざまな実験が行われた。

そんな環境ではCASINOの「暴れ馬」のような個性が、必ずしも万能ではなかったのかもしれない。


スタジオの中で求められた音


ライブ活動をやめたビートルズは、ほとんどの時間をレコーディングスタジオで過ごすようになる。

ここで重要なのは、

「良いギター」

「録音しやすいギター」

は必ずしも同じではないということだ。

CASINOは素晴らしいギターだが、ホロウ構造ゆえに共鳴が大きい。

大音量では扱いが難しい。

録音環境によっては余計な鳴りも拾う。

一方でストラトキャスターは非常にコントロールしやすい。

ソリッドボディで安定している。

ノイズも少ない。

音の輪郭も明確だ。

録音エンジニアの立場から見れば、扱いやすい楽器だったはずである。

ビートルズがスタジオの中で緻密な音作りを追求するようになるにつれ、ジョージも自然とストラトの利便性に魅力を感じたのではないだろうか。

ジョージは「サスティン」に魅力を感じていた

ジョージのギターソロを年代順に聴くと変化がある。

初期はロカビリー色が強い。

カール・パーキンスの影響が濃い。

しかし後期になると、より歌うようなフレーズが増えてくる。

音を長く伸ばす。

チョーキングで感情を表現する。

余白を活かす。

そんなスタイルへ移行していく。

この変化にストラトは非常によく合っていた。

CASINOの音は立ち上がりが鋭い。

対してストラトは伸びやかなサスティンと透明感がある。

「Something」や「Let It Be」の時代になると、ジョージのギタープレイはCasinoよりもストラトのキャラクターに近づいているように感じる。


エリック・クラプトンの影響


ジョージのギター遍歴を語るうえで、エリック・クラプトンの存在も無視できない。

ご存じの通り、ジョージとクラプトンは親しい友人だった。

後には複雑な人間関係も生まれるのだが、それでも音楽的な信頼関係は深かった。

1960年代後半はクラプトンもストラトキャスターへ関心を深めていた時期である。

また、ブルースやアメリカンルーツミュージックへの傾倒も強まっていた。

ジョージ自身も次第にその方向へ惹かれていった。

CASINOが持つロックンロールの荒々しさよりも、ストラトの繊細な表現力に興味が移ったとしても不思議ではない。


実はジョージは「ギターの個性」に執着していなかった


ここが一番重要かもしれない。

多くのギタリストは、

「このギターじゃなきゃダメ」

という考え方をする。

しかしジョージはそうではなかった。

彼にとって大切だったのは曲だった。

アレンジだった。

音楽そのものだった。

だからGretschを使い、

Rickenbackerを使い、

CASINOを使い、

SGを使い、

Les Paulを使い、

そしてストラトを使った。

その時に必要な音が出るなら、楽器は柔軟に変える。

極端な話、

「今日はこの曲だからこのギター」

という感覚だったのではないか。

そう考えると、CASINOからストラトへの移行も不自然ではない。

ジョージはCASINOを捨てたわけではない。

ただ、新しい音楽を作るために別の道具を選んだだけなのだ。


だから今でもCASINOに惹かれる


面白いことに、ジョージ本人は後期になるほどストラトを手にしていたにもかかわらず、多くのビートルズファンはCasinoに強く惹かれる。

それはおそらくCASINOが単なるギターではなく、

「ビートルズが最も変化し、最も冒険していた時代」

を象徴しているからだろう。

『Revolver』から『Sgt. Pepper's』へ向かう黄金期。

あの時代の空気がCASINOには染み込んでいる。

だからCASINOを手にすると、「私たちはビートルズになりたい」わけではなく、

ジョンやポールも含めた、あの時代のビートルズの創造力に触れたくなるのである。

そして気がつくと、ストラトではなくCASINOを抱えながら、「Paperback Writer」や「And Your Bird Can Sing」を弾いている。

ジョージは先へ進んだ。

でも僕たちは、あの最高にワクワクする時代へ何度でも戻りたくなるのだ。



 
 
 

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